日本代表vsイラン代表 マッチレポート
「同点に値する内容のゲームだったと思うが、最終的に得点につなげることができなかったのは残念」
試合後の会見でサッポ監督が言ったコメントが、この試合を言い表していた。
同点に追いつける空気はプンプン漂っていた。しかし、相手ゴレイロの神がかり的なセーブがあったことも確かだが、最後の精度、決定力が日本には足りていなかった。
試合は「浦安セットだからということではなく、試合の頭から前プレをするというチームの考え。今日の試合はDFをしっかりして、カウンターを狙おうと言っていました」(稲葉)という言葉通り、準々決勝同様の入り方を日本は試みた。
しかし、相手はイラン。昨日のように前プレを受け慌てることはなかった。すると徐々にプレスが緩くなったあたりから、日本の左サイドをイランが度々突破し、シュートを打ち込んでくる。それでも日本は、的確なカバーリングと定永の落ち着いたゴールキーピングでゴールを守って見せる。
日本も流れの中から、今大会好調な小野や稲葉が惜しい場面を作ってみせる。両チームとも決め手に欠く展開が続き、残り15秒で前半終了と言う場面で、日本にとって悔やんでも悔やみきれない場面が訪れる。
キックインから藤井→木暮→左サイドの小宮山へパスが渡った。この時、日本はサインプレーで、キックインを蹴った藤井と入れ替わる様に入った稲葉が右サイド前方のスペースへ走り込み、そこへのロングボールを狙っていた。しかし、そこを逆にシャムサイーは狙っていた。小宮山にボールが渡った瞬間、素早く体を寄せコースを消しに行く。それを感じてか、ゴレイロの定永がゴールを空けパスコースを作りに動いた。すると、小宮山が前方へ無理にフィードしようしたボールがシャムセイーに当たり、そのリフレクションが非情にも日本のゴールへと向かって行く。定永の必死のセービングも間に合わず、ボールがゴールに転がるとともに先制点がイランに転がり込んだ。
この時の、小宮山の呆然とした表情が目に焼き付いて離れない。
試合後、小宮山は「前半を0-0で折り返していたら、もっと違うやり方もあったと思うが、僕のミスで失点してしまった。みんなは”気にするな””顔を上げろ”と言ってくれるが、あれは完全に自分のミスだと思っている」と自分を責めていた。だが、後半のスターターとしてピッチに立った小宮山はそのミスを取り戻そうと必死になり、チームもその気持ちをくんで一体となり、イランを追いつめていく。
プレスも前半以上に厳しくタイトに、かつ連動して行くとイランもボールをうまく運べなくなる。その守備のリズムの良さが、日本の攻撃にも表れてくる。日本に訪れた最初の同点のチャンスは30分。左サイドの木暮から逆サイドの小野へのサイドチェンジがギリギリの所で通り、パスを受けた小野がすぐさま縦へ運び、寄せてきたDFの股を通して中へ折り返す。そこにフリーの金山が走り込み右足で合わせたシュートはイランのゴレイロ・ナザリに当たりゴールを外れてしまう。さらには稲田を起点にして立て続けにシュートチャンスを作るがシュートがどれも枠をとらえられない。
残り6分20秒からは日本は比嘉をゴレイロにしてパワープレーに打ってでる。ここから日本の同点ゴールの空気がより一層漂い始めた。
ボールを回して回して崩れたところで、鈴村が右サイドから中にカットインしミドルシュート。その先にいた藤井が頭で合わせ入ったか!と思ったがボールは上空に。一瞬のことだが至近距離でのヘディングにイランのゴレイロ・ナザリが触り、ボールはクロスバーを叩いていた。そして、試合はそのまま0-1でタイムアップを迎え、日本の決勝進出はなくなった。
ついてない部分もあったが「後半はたくさんのチャンスがあった中で、決められなかったのは課題である。この結果を受け止めて、次につなげなければいけない」(鈴村)。数年前であれば「気持ちが足りなかった」など精神論を口にすることが多かった選手から、その言葉はほとんど聞かれず、冷静に試合を振り返り分析しているコメントが多く聞かれた。サッポ監督の言葉を借りれば「4年、5年とやってきて、今年はFリーグができたことで選手たちも自覚ができてきている。だからこそ、今年はチームが一丸となって戦えた」と言うことだろう。それはサッポ監督の采配にも表れていた。これまでのアジア選手権では予選は選手をまんべんなく起用し、大事な試合では海外組の出場時間が異様に長くなることは多かった。しかし、今大会ではイラン戦でも全ての選手を使い、それぞれの出場時間もこれまでの様に歪ではなく、均等(多少の偏りはあるが)に近かった様に感じられた。
結果としては、サッポ監督就任以来、初めて決勝に進めなかった訳ではあるが、日本代表の成長の一端が表れた試合でもあったと感じた。




























